風車の種類
風車の回転軸の方向で分類すると水平軸(主にプロペラ)型と垂直軸型の二つに大別されます。
また風車のトルク発生形態からみると、風車の翼に生じる抗力を利用するものと、揚力を利用する形式とに分類できます。
風力発電には主に揚力形の風車を利用します。
水平軸型風車 | 垂直軸型風車 |
風車の発電効率
風速(秒速)をV[m/s]、翼の受風面積をA[m²]、空気密度をρ[kg/m³]、風車のパワー係数をCpとすると、
風車から得られるパワーP[W]は P=Cp×(1/2)×ρ×A×V³ という計算式で求められます。
例えば、風速12[m/s]、翼の受風面積1[m²]、空気密度1.2[kg/m³]、風車のパワー係数0.2とすると、
P=0.2x(1/2)x1.2x1x12³=207.4[W]となります。
ベッツの法則では風から取り出せるパワー係数Cpは最大で16/27(ベッツ係数)としています。
風の持っているパワーの0.593までは理論的には取り出せることを示しています。
Cpが大きくなるほど風車の発電出力性能が高いと言えます。
上記の計算式から風車のパワーは受風面積と風速の3乗に比例することがわかります。
また風車のパワー Pはトルク[Nm]×回転角速度[rad/s](トルクxRPMx2π/60)でも表されます、
これは風車の動力から発電機によって電気変換したパワーを表しています。
風車のシャフトに与える力を大きくし回転数が上がれば、風車から取り出せる発電出力は大きくなります。
一般的な大型プロペラ風車は抗力になりうる翼面積を減らし、回転数(周速)を上げることで発電効率を高めようとしています。
ベルシオン式風車では揚力を引き出す翼面積を広げ、かつ最適な回転数まで上げて発電効率を高めるよう工夫を施しています。
ベルヌーイの定理
エネルギー保存の法則によって、圧力と流速の関係が決まっています。
この関係を利用して揚力を発生させようとしたのが航空力学の考え方です。
現在の風車の翼は航空力学の翼理論をもとに研究されています。
コアンダ効果
流体が物体の表面を流れるとき、物体の表面形状へ貼りつくように沿って流れる現象のことをいいます。
ジェットエンジンを発明したといわれているヘンリ・コアンダによって解明されました。
この現象を利用することで物体の周りの圧力差を起こして流体の流れを加速させたり、流れる方向を変えることができます。
風車の性能評価
一般的に風車の性能を評価する場合、パワー係数、周速比、ソリディティなどの特性係数を利用して性能評価しています。
パワー係数とは風車の受風面積から得られる風のパワーを基準にして、風車から取り出せるパワーとの割合を示しています。
実際の風車では揚力形の高性能プロペラ型大型風車で0.4、抗力形のサボニウス風車では0.15程度です。
周速比とは風車翼の先端速度と風速の比を表しています。
揚力形の風車では翼先端は風速よりも早く回転でき、抗力形の風車では風速以下でしか回転できません。
ソリディティとは風車の受風面積に対する風車翼の全投影面積の比をとして定義されています。(Fig. 1)
A.ベッツはどのような風車でも最大のパワーを取り出す場合のソリディティと周速比には一定の法則があるとしています。
曲線と曲線の範囲内(影部分)に入るとしています。(Fig. 2)
Fig.1 プロペラ型風車のソリディティ | Fig.2 風車ソリディティと周速比の関係 |
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